昔、仕事で松江に行った時のこと。電車の出発まで時間があったので、駅前のベンチにすわっていたら、＊＊聾学校 と書かれたスクールバスが止まり、中から小学生が５０人ほど降りて来ました。そして子どもたちは一斉に、手話で会話を始めました。手話ですから、声は誰も発していないのに、私は人間の話し声は聞いていないはずなのに、まあ、何ともにぎやかでした。「手話がにぎやか」って不思議な話ですが、でも本当に、まるで５０人の小学生が声を出してしゃべっているのと同じ感覚で、思わず「うるさ〜い！ 静かにしなさい！」と叫びたくなるほどでした。もし私が後向きにすわっていて、子どもたちの姿が見えなかったとしても、その場の気配で感じただろうと思います。人間のコミュニケーション能力って、すごいものなんですね。そして、コミュニケーションの手段は言葉だけではない、ということを痛感しました。
（2006年3月）